コラム

豊胸手術と乳がんの関係が明らかに! 3つのQ&A

「豊胸すると乳がんになる?」「乳がん検診は受けられない?」「脂肪注入は再発率をあげる?」
豊胸手術と乳がんに関する噂・疑問にお答えするコラムです。豊胸手術と乳がんに因果関係はあるのでしょうか?

噂の関係1:豊胸手術すると乳がんになる?

噂の関係1:豊胸手術すると乳がんになる?

豊胸手術を考えている人なら、誰もが気になる内容ではないでしょうか。世界の研究論文に詳しい大橋ドクターの話では、シリコンバッグ豊胸、脂肪注入豊胸、ヒアルロン酸豊胸、いずれも乳がんの発生率が上がるという報告は覚えがないとのこと。つまり、豊胸手術と乳がんに因果関係はないと言えるのです。
乳がんは乳腺組織内で発生します。考えてもみれば、脂肪やヒアルロン酸は乳腺の外、主に脂肪層に注入します。シリコンバッグも、挿入するのは脂肪層や大胸筋下など。それらが乳腺内に作用して乳がんを引き起こすとは、考えにくいものです。実際、「13,500人以上に8年間行われた調査で、『乳房インプラント(豊胸バッグ)の挿入後に乳がんリスクが高まる証拠はない』と示されたことは医学界でとても有名」と大橋ドクター。しかし、シリコンバッグに関しては少し気になる報告もあると言います。
その報告とは2013年3月、世界的な形成外科専門誌『PRS』に掲載されたもの。Nicolas RS, Ross DFらによると、破損した乳房インプラントに伴う悪性腫瘍が1例あったということでした。たった1例ではありますが、ラット実験では35%という高い割合で、破損した状態の乳房インプラントは悪性化するとも記されています。ただ、現段階で豊胸手術と乳がんの関係を解くならば、やはり関係性は低いと言えるでしょう。

噂の関係2:豊胸していると乳がん検診ができない?

噂の関係2:豊胸していると乳がん検診ができない?

まず、脂肪注入豊胸とヒアルロン酸豊胸についてですが、脂肪はそもそもバストを構成する組織で、ヒアルロン酸は体内に吸収される素材。これらが原因で乳がん検診ができないということはありません。ただし、デンスブレスト(高濃度乳房)の方がヒアルロン酸豊胸を受けている場合は、マンモグラフィー検査の診断が難しくなるリスクは考えられます(デンスブレストとヒアルロン酸豊胸の関係については「後悔しないヒアルロン酸豊胸〜知っておくべき7つのデメリット〜」をご覧ください)。検診が受けられないというリスクに絞ると、最も心配されるのがシリコンバッグ豊胸のマンモグラフィー検査でしょう。
検診施設ではありませんが、千葉ドクターが乳腺内分泌外科で医長を務めていた神奈川県立がんセンターの診察では行うこともあったそう。つまり、不可能ではないようです。ただ、破損のリスクから断る施設の方が多いのも事実。集団の健康診断などではなおのことでしょう。検診できる施設でも、一般的にはエコー検査を行っているようです。ただ、「乳がん検診のうち死亡率の低下が認められているのは、現在のところマンモグラフィー検査だけ」と千葉ドクター。現在、厚労省が2年に一度、乳がんを発症しやすい40歳以上に行っている検診もマンモグラフィー検査です。
また、シリコンバッグはマンモグラフィー、エコー、MRI、どの検査でもはっきりと映ります。そのため、バレたくないという思いから乳がん検診を受けない例も多く、乳がんの死亡率を高めてしまう要因の一つとなっています。THE CLINICのゲストでも、検診や将来への不安など、精神的な理由からシリコンバッグの抜去を検討される方は少なくありません。そして、そのほとんどが気軽に乳がん検診の受けられる脂肪注入を選択しています。
ただし、脂肪注入豊胸やヒアルロン酸豊胸であっても、豊胸している旨は事前に伝えることをおすすめします。このひと手間で、面倒な病理検査を受ける必要がなくなるかもしれないからです。

噂の関係3:脂肪注入豊胸は乳がん再発率をあげる?

噂の関係3:脂肪注入豊胸は乳がん再発率をあげる?

この噂にはまったく根拠がありません。逆に乳がんの再発に関係しないという文献ならご紹介できます。ひとつは、2010年にDr. Rigottiが発表した論文。脂肪注入による乳房再建1000例において、乳がん再発への影響はないというものでした。そして今年、2016年の最新の報告で、その見解がより明らかになりました。
それが、形成外科専門誌『PRS』に掲載された論文です。内容は、乳がん手術後に脂肪注入したグループと脂肪注入していないグループ、乳がんにかかっておらず脂肪注入したグループの乳がん発症率を、長期比較したもの。右のグラフを見ても分かるように、3つのグループに乳がん発症率の差はないことが示されていました。「こういう事実が明らかになると、私たち美容外科医もより安心して手術に臨めます」と大橋ドクター。ただ「脂肪注入でしこりができた場合、乳がんとの関係はなくても検査のスムーズな進行を妨げるため、直径2.4mmの細い麺状で細かく注入することが大切」とも話しました。
また、余談ですが『PRS』では各論文のリスクレベル(信頼度)を5段階評価します。1に近づくほど高い信頼度という中、こちらの論文はリスクレベル2でした。
そもそもこの議論は過去のもので、乳がん手術後の乳房再建の最先端の現場では、むしろ脂肪注入がとても注目されています。実際、大橋ドクターが日本乳房オンコプラスティックサージャリ―学会(乳がんの根治と乳房の整容性を両立させることが目的)でコンデンスリッチファット(CRF)療法について発表した際も聴講席は満席だったようで、関心の高さを実感したそう。そういった背景もあり、大学病院などとも連携して脂肪の研究も行うTHE CLINICでは、脂肪を活用した乳がん手術後の乳房再建のお手伝いも少しずつですが始めています。

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